九龍妖魔学園紀〜3.あの炎をくぐれ!〜
 


●二人だけのヒミツつったじゃん

取手の事件から1週間後。俺・葉佩九龍は、真面目に登校していた。
…いや、ホントはさ、ロゼッタへの報告とか更なる探索とか、あと何気に筋力トレーニングとか、結構頑張ったんだぜ? なのに綺麗さっぱりすっ飛ばされてやがる。
俺の1週間は泡かよ。
「仕方ないだろ? どの道、話が進まないと遺跡も進む事が出来ないんだから」
コントローラ握った親に突っ込まれる。ぐっ…確かにな。
そうこうする内に、八千穂&皆守の登場だ。
あーもー、お前ら朝からホンット元気いいよな。八千穂の「一緒に探検した仲でしょ?」や、「ほら、皆守クンとあたしも、もう友達じゃない!」に、まんざらでもなさそうな顔してる皆守。青春だねえ、うんうん。
だから俺の事はもう放っといてくれ。
「ホントは白岐サンにも、話を聞いてみたかったんだけど……」
って、おい! これ以上俺の正体を広めるなっ!!(汗)
おまけに、図書室の七瀬に聞くだの何だのって…。あのなあ、俺は一応、宝探し屋の身分を隠してだな―――
「葉佩クンッ!!皆守クンッ!!早く早くっ!! ねえ葉佩クンッ、まだ〜ッ!?」
…だから、人の名前を広めるなよ…(ぐったり)
「…お前も、これから覚悟しておいた方がいいぞ」
皆守もやはり、名前を連呼されてうんざり顔だ。
けど同情するなら金をくれ、マジで。今手持ちが19300円しかねえんだよ。メガテンと違って、敵倒すだけじゃ金もマグネタイトも入らねえのな、くっそ…。



●管理人の本性見たり

結局3人で図書室へ出向いて、七瀬にそれとなく聞き込みをする。
…が、八千穂、いきなりバラししそうになる。
すかさずフォローに回る皆守が、何だかありがたい存在に思えてきたぞおい。
ともあれ、俺らの質問を受けて、七瀬が色々と知識を披露してくれた。
カビか…カビは嫌だな。俺は「黒い砂」って、何か、砂鉄みてーな気がすんだけど。
しかし、予想外の問題が発生。話が日本ピラミッドに及んだ所で、親がいきなり○ボタン連打し始めやがった! お、おい! 俺ちゃんと話聞いてねえのに!
「五月蝿い。私は、何でもかんでも日本起源とか抜かす説が嫌いなんだよ」
……? や、やけに気圧低いな…。けどホラ、言われてみりゃ古墳だって…。
「立派な相手のお墓を立派にしようなんて、誰でも考え付くわ。同じ考え持った人種が偶々世界中にばらけただけだろうが。いちいち日本を中心にするな」
でもさ、頂上石は?
「ほう、日本の奴もちゃんと山の形に沿ってるのか? それに、エジプトであの巨大遺跡が作られてた頃、日本はどんな文明を築いてた? 言ってみろ」
う…。で、でもよ、まだ発掘されてないだけじゃ…。
「そもそも、文化を伝えるのに、何でエジプトまですっ飛ぶ必要がある? 教えるならまずお隣の中国だろうが。じゃあ中国で頂上石の在るお墓を上げてみろ。あそこは山と言えば仙人様の住処だぞ。タクラマカン砂漠はどうだ? 楼蘭は? インドは?」
ぐっ…(立て続けに言われて咄嗟に返事できない)。
「そら見ろ。大体、日本が世界の中心だのへそだのなんて考えは、創作の世界でしか通用しない。実際の日本は、大陸と海洋プレートに挟まれて、今にも押し潰されるか沈むかしそうな、火山帯の島国でしかないんだ。文化なんて論外だろ。勿論、独自の文化は存在したさ、でも発展したのは大陸あってこそだ。親切な中国の僧侶様や、先進の学問を学ぶ為に決死の思いで海を渡った留学生達の、血の滲む様なご尽力を思い起こせっての。謙虚!それが日本人の美徳!」
わかったわかった、ヒートアップすんなって。
いいじゃん別に。ピラミッドがどっから来よーと、俺の目的は、古代日本民族のお宝なんだから。
「…言っとくけど、今で言う大和民族は、朝鮮半島から渡ってきたって説もあるんだぞ。その証拠に、北端や九州南部と比較すると、言語学的にも身体特徴も―――」
だああっっ! 頼むから、七瀬と同時平行でゲームと関係ねえ話を喋るな!

親が何を言おうと、俺の目標は秘宝の発見とハーレムEDだ。だから七瀬にも熱く同意しておく。
その辺は親も心得顔だ。理解のある親は有難いぜ。
「…何か、違う気がする…」
気のせい気のせいノープロブレム。
そうする内に、授業に戻る時間だ。
…ん?選択肢が出たぞ。教室に戻るか、サボるか。本音はサボりたいけど、前述どおり女の子重視なら、八千穂と教室に戻るべきなんだよな。でもなあ。
「確かに迷うね……うわ!」
ん?
「手が滑った」

 選んだ選択肢 : 3.皆守と授業に出る

―――はああぁあっ!? 何だよその日本語自体が間違ってそうな答えは!?
「何言ってんだ? 俺は行かないって言ってるだろ?」
皆守もモロ嫌そうな顔だ。俺だってヤだよ!
だが抗議もむなしく、皆守とタッグ組んで午前中を過ごす羽目に。な、情けねえ…TT 好きなトコでセーブ出来ないのが、こんなに辛いとは思わなかったぜ。



●午後も色々盛り沢山
女の子とちっとも良い雰囲気になれなかった(どころかヤローとばかり熱かった)午前中なんざ、忘れるに限る。
―――だがしかし。午後イチで、またも皆守に拉致られた。
この皆守って奴、開発者にやたら気に入られてるよな。妙にCG多いし(七瀬の時もCGがよく出るけど、あれは七瀬本人が出てこない)、ジッポ点ける時の効果音まであるし(そもそも、一介の高校生が学内であんなん堂々とふかしていいのか? コレ放っとく教員も本気でどうかしてるよな)。
男が主人公だったり、女の巨乳(こら!by親)が目立ったりで、若年男性購買層がターゲットかと思ってたけど、認識改めた方がいいかも知んね俺。
「………、何が言いたい?」
いや、だから、感情入力で親に「愛」とか押される心構えを…ぐはっ!!
「押すかボケっっ!!」

実際、以降の親の感情入力は、「怒」「悲」に終始していた。
それというのも、本日の午後は中々にデンジャラスだったからだ。
学内(それも俺の間近)で、爆破事件が2回だぞ2回。
俺うっかり、手持ちの爆弾の残り数を確認しちゃったよ。取られてねえかって。
まあ犯人は、これまたデンジャラス…もといイカレ…もとい、イカした格好の陶器人形みてーな女子生徒だった訳だが。
前回といい、生徒会の執行委員って、アクの強い奴が多くねえ?
任命する奴の顔が見てみてーよ。
…そう胸の内では毒づいても、仕様で喋れない俺。それともよっぽど日本語が下手なんかね。しくしく。
代わりに、リカちゃんという犯人を説得する級友2人に、胸が締め付けられたり。八千穂の純なひたむきさも、皆守の過去に何かあったらしい口ぶりも。ごめんな2人とも、疑って悪かった。八千穂、お前が生徒会な訳ないよ。皆守もひょっとしたら、前に来た転校生とやらに何かあって、それで俺を心配してくれてるだけなのかも。

ああ、そしてヒナガタ、じゃねえ雛川先生が可愛いです。
つか、新人のくせに3年の担任受け持つって、実は凄くねぇ? まぁこのガッコも相当いーかげんっぽいけど、この人はこの人なりに責任感じて、ものすっげぇ頑張ってるんだろうな。あーくそ、禁断の愛でも何でもいいからギュッと抱き締めてやりてぇよ。
「…この女好き…」
黙れ親。テメーにだけは言われたくねえ。



●探索探索
「通販で爆弾や銃器を買えるって、どうなんだ…?」
いや、俺はそれ以前に所持金が心配だ。
そんな訳で、爆弾と弾薬だけ補充してから遺跡へ出発。遺跡の中で弾薬が入手できると知って泣きそうになったのは秘密だぜチキショウ。
今回のエリアは、1週間前と比べて全体的に暗ぇ。明かりのスイッチを探したい位だ。ついには真っ暗闇の部屋まで……ちょ待て。ちょお待て。こういう展開は激しくイヤな予感がってぎゃあああああ!! ガイコツ! ガイコツがグルグル回転しながら迫ってきやがるーーーーー!!(泣)
「こら、バディ置いて逃げんな! このロキソニン!」
テメーだって半泣きじゃねーか! あと俺の前世を幽霊嫌いの代名詞にすんな!

バディと言えば、今回は取手を同伴してみたんだけど、音楽好きだけあって「○○の方角から音がする」ってな助言が貰えて、ちょっと感動。
ひょっとして、バディによって助言ポイントが違ったりすんのかね?

気弱そうなハク○ョン大魔王(だって壺が!壺が!!)を倒して、リカちゃんを無事味方に引き入れて、ロゼッタ協会に報告出来そうな秘宝もゲット。
おお! 今日ってもしかしてかなり順調?
「おめでとう。で、お金は?
………………(血涙)
「お前ね…。いい加減にしないと、次回で所持金残り1万円切るぞ? 今回だって学校からくすねた備品売って(黒板消しとか百科事典とか)、ようやく爆弾買えたのに」
うるせぇ! 大体ここ一応ガッコの敷地内だぞ、ンな簡単に金が落ちてるワケねーだろ!
…仕方ねえ、クエストに手ぇ染めるか…。
「学生がアルバイトなんかして、い〜んだぁ?」
〜〜〜オレは学生じゃねえ!! プロのハンターなんだよ、プ・ロ!!
「ふ〜ん、ボス戦でサソリに囲まれて滅多刺しにされるプロ…ふぅ〜ん…」
テメーの操作が下手クソなんだろーがっっ!!(泣)


 


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