003:元冒険者の傭兵(アルノートゥン、ギルド内)
 




「諸君、私はあえて問う。アルノートゥンにはなぜボルダンが多いのか?」
「男の園だからさ」
…などという、情けない理由でない事を祈るばかりです(汗)。
ところで、これはガン○ムと銀○伝どちらがオリジナルなんでしょうか…。

2つ目のお題で述べたとおり、
アルノートゥンを歩くと、多くのボルダンに出くわします。
…それ以前の問題として、本当に男しか居ません
道を歩く聖職者、ギルドや店の助言者、酒場の接客までも
あの寂しい背景や、イベントの少なさも相俟って、失礼ながら非常に寒々しい街です。
派手な服装とは言い難い女主やアイリーンすら輝いて見えますよね。
何処とは言いませんけどふとももとか。


まあ、「裁きの神」でもある天空神ノトゥーン信仰の総本山ですし、
神を身近に感じる為には、あまり華やいでいない方が、都合が良いのでしょう。
しかし、聖職者はそれでも良いとして、問題は他の住民。
こんなに娯楽が無い街に住んで、楽しいのでしょうか。いや楽しい筈がない。
そんな訳で、話を聞いてみようと、住人達に話しかけてみると………。

住民だと思った相手は、全員、冒険者か傭兵でした。

具体的な数字(画面上に限ります)を出してみますと、
 ・神官…5人
 ・店主(鍛冶屋や酒場など)…5人
 ・ボルダン…4人(内1人は傭兵)
 ・冒険者…1人
 ・傭兵…5人
以上がアルノートゥンの構成員です。
おいおい、傭兵を全員足したら神官より多いよ!(汗)

以前、掲示板で18様(「幻住庵」)が指摘して下さった事に重なりますが、
これは明らかに、傭兵がこの街の重要な構成員である事を表しています。
具体的に申し上げますと、傭兵が常駐しているという意味です。
それもかなりの数で。

ここで一度、アルノートゥンという街自体について確認致しましょう。
大陸有数の標高を誇るが故に、神聖王国時代に天経院が建てられ、
王国崩壊後も天空神信仰の中心であり続けるこの街。
霊峰トールに建つノトゥーン神殿の方は、帝国首都という世俗権力に近く、
またそれ故に巡礼者も多いと考えられますので
(ヴァンの父親の様に、巡礼案内を生業とする人も居ますし)、
真剣に修行するなら、世俗から遠く(笑)由緒もあるアルノートゥンを選ぶでしょう。
ディンガル帝国に滅ぼされた国家の生き残りという事で、
帝国の政策に良い印象を抱かない人も、集まりやすいかも知れません。
尤も、防衛に優れていても出撃は難しい地理上、積極的に反抗する人はリベルダムを選ぶでしょうが
尚、大陸奥地でしかも山間、特産品というべき聖光石は採掘出来ないとあって、
商人は絶対近寄らないでしょうね。
こういった事から、聖職者ばかりであるのは当然と言えます。

では、その聖職者に匹敵する数の傭兵が居るのはどういう訳か。
簡単ですね。街の防衛の為に雇っているのです。
アルノートゥンには正規の軍が居ません。少なくともゲーム中には出てきません。
これは結構意味深です。神聖王国時代は、それなりの兵力があった筈ですから。
恐らく8世紀、王国がメガ・ディンガル帝に敗れ、解体した時点で、
軍も撤廃され、宗教都市として存続する事を選ばされたのではないでしょうか。
しかし時代が下り、世が乱れて防衛の必要性が高まった為、
傭兵を用いる事が選択肢に入ったと考えられます。
個人的には、バロル帝時代かその前の継承戦争辺りからではと睨んでいます
もっと長い歴史があれば、傭兵団でも出来ていそうなものですけど、結構ばらばらっぽいですから

王国時代から傭兵を使ったという仮説も、神聖王国の性格上有り得ますが、
これを言うと神聖王国の仕組みから考えなければいけないので割愛。

しかし此処で、私は一つの疑問を提示したく思います。
本当に傭兵が必要なのか?

ロストールに敵対した方、或いは闘技場に参加した方はご存知でしょうが、
神官、闘います(笑)。
それも、でっかいメイスで殴るわ、魔法は使うわ、かなりのものです。
救助依頼で神官を助けに行ってみたら、
Lv30ありやがった…という方もおられるでしょう。
現実でも、比叡山の僧兵や宗教騎士団など、闘う聖職者の例はございますが、
ジルの場合、魔法と言う只人にはないスキルが加わって、はっきり言って反則です。
アルノートゥンの神官も、クレリックのソウルについて助言される事を鑑みると、
魔法の心得があると考えてよいでしょう。
加えて、僻地のアルノートゥンを攻撃する利点があるか否か。
版図を広げる目的には、土地の取得、人口増加、資源の増加、貿易の収益など
色々ございますが、どう考えても、かの土地に経済効果は望めません(笑)。
経済から離れて、権威や軍事力で考えると、大きな利があります。
一つは、ノトゥーン系の総本山を掌握したという、宗教的・心理的効果。
もう一つは、言わずと知れた聖光石の力。
但しこれらは諸刃の剣で、
前者は、国内外の聖職者及び信者に反感を与えかねず、
後者に至っては、寧ろアルノートゥン側の切り札なんですよね。

そういった、戦えて魔法も使えて核ミサイル並の最終兵器を所有する
最強の聖職者集団が、何故傭兵を雇うのか?
可能性を3つ考えてみました。


 1.聖光石の力を使えない

  町ひとつを滅ぼす事の出来る神聖王国の切り札、聖光石。
  王国を倒した人間なら、真っ先にその力を封じるでしょうね。
  メガ・ディンガル帝、或いは後に続いた帝国の政策によって、
  聖光石の力を操る事の出来る術者は全て粛清され、
  後続も育てられない様にされてしまったのではないでしょうか。
  帝国側ではなく、争いを止めた宗教都市としての方針とも取れます。
  聖光石の鉱山が閉鎖されたのも、その一環かも知れませんね。
  聖光石関連の理由としては他に、イシュアバルが鉱山に封じられた為、
  迂闊に力を使うと、石が共鳴を起こして、イシュアバルの復活に影響しかねない
  等の懸念が考えられます。
  傭兵の一人からの情報、「この地には何か恐ろしい力が封印されている」。
  この“力”が聖光石の事か、イシュアバルか、或いはもっと他の何かか、
  いずれにしても魔法以外の力に頼りたいという意図が見え隠れします。


 2.宗教的な問題で戦えない

  先に「闘っている」と指摘しておいて何ですが、充分考えられます。
  ディンガル対ロストールで出てくる聖職者は、竜教神官であり、
  どちらかと言えばノトゥーン系のディンガル兵とは微妙に相容れません。
  闘技場で出てくる神官は、言動から察するに(一応)信心深そうです。
  一方の冒険者は、信仰とは無縁と思われる傾向にあります。
  バイアシオンは他宗派に非寛容ではなさそうですが、戦う理由にはなりますね。
  まあどちらの例もそれ以前の問題なんですが
  ところがアルノートゥンの場合、侵略の可能性がディンガルしかありません。
  アキュリュースは兵がありませんし、ドワーフは中立ですから。
  すると、万一攻め込まれた場合、
  同じノトゥーン派という事で、神官たちはちょっと困ってしまいますよね。
  そして十中八九、ディンガル側はそんな事気にしないでしょう。
  兵一人一人は気にしても、軍のトップ、特にとんがってる人は絶対考えない(笑)
  そんな事態に備えて、宗派に関係ない傭兵を雇っている。これがその2。


  3.魔法が効かない敵に備えている

  これはその1に少し関連します。
  先に挙げた「恐ろしい力」に対し、アルノートゥンはどういった位置なのか。
  “力”を外部から守るのか、それとも“力”からアルノートゥンを守るのか。
  それによって必要な防衛方法が大きく変わってきます。
  後者の場合、魔法では歯が立たない事が有り得るかも知れません。
  腕力が役に立つとも限りませんが、まあ無いよりましでしょう。

もっと違う理由かも知れませんが、私が思い付くのはそんな所です。

見るからに逞しいボルダンや、元冒険者という如何にも経験豊富そうな傭兵が
あの最果ての地に溢れているのは、こういった事情かと思われます。
彼らからすると、ひょっこり現れた、アドバイスせずには居られない程若い娘が
瞬く間に大陸に名立たる冒険者となるのを見聞きして、
わくわくしない訳がないですよね。
そこら中で女主の名が囁かれる町。
…ごめんなさい、前言撤回します。無駄に熱い街かもしれない(汗)。


 


挿入し損ねましたが、私はアルノートゥンはディンガル寄りだと思います。
てかお題は何処へ行ったんだ…。 (H16.10.31)


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