001:若い船員(アキュリュース本島船着場)
 





…えー、何と「12のお題」を考察でやってみようという馬鹿が此処に居ます(汗)。
だって元々考察サイトなんだもん!

という訳で、「本好きの妖精」版・女主好きさんに12のお題始動です。
果たして、当方のヘタレ考察で、幸薄いと評判の女主人公を幸せに出来るのか。
激しく無謀なこの試みに、興味のあられる方は、どうぞお付き合い下さいませ。





第1回は、「若い船員」。
アキュリュースに船で渡った画面で、主に傭兵隊に関する愚痴を漏らす船員さんです。
ゲームが進み、主人公が強くなると、当の主人公の噂を聞かせてくれます。

…お気付きの方もおられると思いますが、お題選択画面におけるこのエリアは、
主人公を褒める人、ヒントをくれる人、その他何らかの形で印象深い市井の人々を
バイアシオン大陸の12都市からピックアップしております。
ジルオールの作りの丁寧さを感じる一つに、
仲間にならない一般人にも、細かい設定が為されているという事がありますね。
名称が1人1人設定されていたり、
台詞が変化するタイミングも
 ・イベント経過
 ・主人公のレベル
 ・主人公の取得ソウルポイント数
…の3種類があったりして、話しかける度に色々と感動を覚えます。
時には、「おお! あの有名な○○(主人公の名前)に会えるなんてっ!」等と
喜んでくれる人もいて、プレイヤーに嬉しい驚きを与えてくれますしね。

話を、アキュリュースの彼に戻しましょう。
序盤では、軍を持たない都市アキュリュースの防衛を心配する彼。
イベントが進むにつれて、傭兵隊の内実から、要となるミズチの話へと変化しますが、
ある時点(はっきりした確証はありませんが、おそらく陥落前後)から、
有名になった主人公の噂のみになります。
その部分だけ、ちょっと引用してみますね。

 「ロストールで、有名な冒険者の噂を聞いたんだ。
 △※☆(その時点の通り名)の○○(主人公の名前)って呼ばれてるそうだよ。
 あのゼネテスに負けず劣らず大人気ってんだから
 かなりの凄腕冒険者なんだろうねえ。
 そんな人が傭兵隊長なら安心なんだけどなあ。」


…この手の話を聞く度に、そんな噂に上るほど冒険者という職業はメジャーなのか、
それなら将軍はどうなんだ、ジラークの噂とか殆ど聞かないじゃないかオイ、
て言うか皆さんゼネテス持ち上げ過ぎ(どの時点でも、大陸のどこかで彼の話を聞かされる)
…などとヒネた事を考えてしまいます、当方。
恐らく、主人公達は一目で冒険者と分かる身なりなので(テラネの神官とか、開口一番「冒険者は嫌いだ」だし)、
市井の皆様も話を合わせてくれるのでしょうけれど、毎回ときめかされる身には堪ったものじゃありません


私の惚気疑問はともかく、この船員さんの台詞、なかなか意味深長です。
まず、上で述べた事に被りますが、「あのゼネテス」という表現。
この台詞が出る時には、既にファーロス家当主兼総司令官に就いている彼ですが
それまでは冒険者として以外の実績は皆無に等しい。
裏を返せば、冒険者としての実績だけで、大陸中に名を広めている訳です。
つまりバイアシオンにおいて、冒険者という職が、非常にメジャーなものであるという事。
ゲーム中では何ら驚くに値しないでしょうけど、
現実に即して考えると、結構大変な事です。
テレビもラジオも無い世界(キャラ白に書いてないだけで、実はあったらどうしましょう)に、
国王でも大金持ちでも、軍人でもない人間の名前を、大陸中が知っているなんて。
傭兵隊を率いて、全世界を回っていたならともかく、個人の例は史実に見つけ難い。
それが可能な程、ジルにおける冒険者は、一般民衆に密接に関わっているのですね。
まあ、大陸一の大金持ちフゴーが、強力なバックアップをしている上に、
数々の職種別ギルドの他、市民ギルドや近くの村、
都市の中心的組織(アキュリュースなら水の神殿)まで、仕事を依頼してくるんですから
密接になっても不思議は無いんでしょうけど。

もう一つの捉え方として、アキュリュースだから知っているというのがあります。
先にも述べましたがこの水の都、名高い天然の要塞である上に
中心である水の神殿が戦いを望まない為(傭兵になるとそういった発言が聞けます)
正規の軍を持ってません。
従って、街を防御する際は、傭兵を募る必要が出てきます。
引き受けるとすれば、根っからの傭兵業の人間の他、定職についていない冒険者。
必然的に、街を何度も守ってくれた、或いは守ってくれそうな強い冒険者を
街の人間は記憶し、動向を気にかけている…という事態も有り得る訳です。
但し、アンギルダンの話を知らなかった人も居るので、かなり自信がありませんが;
これは史実にもよくあります。ルネッサンス期のイタリア諸都市なんかは好例ですね。
隊長クラスになると、下手に負けた場合、裁判にかけられる事もあったそうです。

偶然かも知れませんが、他に“名高い冒険者”が話題に上る街に、
リベルダム(アンギルダン・ゼネテス・レルラ・ガルドラン←笑)と
ウルカーン(ネメア)があります。
※酒場の主人からの情報や、主人公自身の情報は除く
2箇所とも、ゲーム開始時点での軍事力の存在は、明かされていません。
リベルダムに居るのは、兵士でなく都市治安警官です。
軍備や装備の充実を目的とする依頼が、冒険者ギルドに時々出ていますが、
依頼主は陥落後も存在する自治連ですので、やはり都市内の治安が最優先事項でしょう。
…それ以前に、リベルダムは冒険者の町ですけどね(笑)
ウルカーンでは、マグマゴーレムを防衛に使おうとする動きがあるようですが、
ゲーム中には結局出てきませんし、
危険性から、人間を雇おうという声もおそらくあるでしょう。
実はその他の都市は、ある程度の軍事力が常備されています。
帝都と王都、及び兵士がすぐ飛んでくるテラネとノーブルは、言うに及ばず。
東方諸国家のお膝元、後には青竜軍の拠点となるロセン。
聖光石の力を守るために、常時何者かが雇われているアルノートゥン。
自警団のあるアミラル。
兵士も居ますが、何より翔王と、それに監視されるほど強力な女王エアが居るエルズ。
これらの町では、軍人ではない“冒険者”の話題は、全く出てきません。
この事からも、前述の3都市のみ、冒険者(兼傭兵)の動向に敏感であるという仮定が
可能であるように思われるのですが、如何でしょうか。
これを踏まえると、大陸全土で噂に上る主人公の強さは、本当に桁外れなのですね。
そりゃ女の身で「並々ならぬ面構え」とかも言われるってもんです(落涙)



何だか、思ったより長くなってしまいましたが、実はもう一つ気になる表現がありまして。
1行目の「ロストールで、噂を聞いた」という言い回しです。
開発の方による句読点の打ち間違い等でなければ、これは
彼自身がロストールで主人公の噂を聞いたと解釈できますよね?
つまりこの船員さん、ディンガルの占領下にも関わらず、
ロストール王国領内に行ってるんですよ。
ひょっとしたら、占領前に行って、占領後にその話を披露しているだけかも知れませんが、
それだったら「ミズチが居なければ、ディンガル軍を防げないよ」とか零さず
急いでギルドや傭兵隊に働きかけているでしょうし。
仮に、帝国の占領下でその敵国に行ったのだとすれば、
帝国は冒険者以外に、一般市民にも、自由な通行を許可しているという事になります。
完全封鎖を行っていない。本当に緩やかな支配なんですね。
冒険者が自由に出入りできるのは、やはり税収の要であるフゴーの機嫌を損ねたくないからでしょう

加えて、アキュリュースからロストールまでの往復だけでも、20日前後かかるので、
彼はまとまった休みを一ヶ月近く取った事になります。
一瞬「仕事かもよ?」と思った方(と言うか私)。
商人ならいざ知らず、渡し船の船員が内陸部に何の仕事ですか(笑)

即ち、この世界には長期休暇が存在する、或いは調整して取る事が出来るのです。
ジル世界のお仕事サイクルや有給概念の有無までは想像出来ませんが、
長期休暇の存在理由なら、
観光客の少ない時期の休み、宗教上の理由などが挙げられます。
或いは、帝国との戦争及び占領によって客足が遠のくなどして、
船員さんたちは暇を出されたのかも知れません。あ、哀れな…(涙)



「…あのさ、そんな事まで考えて、台詞作ったりしてないと思うよー」
という声なき声が頭に響いてますけど、取り敢えず無視します(笑)。
ともあれ、そうして出かけた先で仕入れた有名冒険者の噂を、嬉々として話す彼は、
まさか目の前のちんまりした嬢ちゃんがその本人だなんて、想像もしてないのでしょうね。





(後日加筆)

その後の調査で、この船員さんの台詞変化は、歴史イベント経過ではなく、
ソウルポイント数によるもの(恐らく20前後で1度、40前後でもう1度)と判明しました。
「前後」としたのは、レベルや救助依頼の有無によって揺れがある為。
通り名が付く頃が20、乙女の鏡or城塞都市跡の闇の怪物退治を依頼される頃が40かな?

アキュリュース陥落時に、彼の台詞が特殊なものに変化する事に気付かなかった為、
混乱した情報のまま書いてしまいました。申し訳ありませんm(_ _)m
…まあ、ゲーム中の助言に従って、普通にプレイすれば、
大体上に述べた時間帯で変化しますけどね。

それで、ソウルポイント数で変わる場合ですが、
鍛え過ぎない並プレイをした場合、大抵の方は、ネメア様即位後しばらくしてから
40ポイントに達するかと思われます。
そうすると、この船員さん、ディンガルによる侵攻の最中という
下手すれば占領中より緊迫した状況下で国を出た事になるのですが(笑)。
まあこれは、通り名がつく20ポイントから40ポイントの間に旅をしたという事で、
ネメア様即位前の時期とも考えられますけど、
比較対象であるゼネテスが、ゲームスタート時点で53ポイントなので
(ソウル育成の原理で言えば、困っている人を最低53回助けている)、
せめてその半分は無いと、「負けず劣らず大人気」とは言い難いかも知れませんね。
結論を述べれば、やはりディンガルの監視は非常に甘かったのだと考えられます。

それと、実は上の各国列挙に、自明過ぎて触れなかったドワーフ王国が抜けてます。
一応述べますと、
 ・人間種族の国ではない点
 ・大陸共通通貨を鋳造している為に不可侵である点
更には、国王を闘技場の試合で決めるというルール、
其処から想像される、国民の多くが戦闘能力に秀で、しかも努力を怠らないであろう事。
これらがドワーフ王国の中立を守る力だと思います。
明確な軍隊の存在は不明ですが(王の命令で動く兵士?は確認済み)、
やはり万一の事態(他国からの侵略のほか、例えば落盤事故等)に対応する為の
最低限の機能は在るかと。親衛隊でも徴兵制でも国家総動員でもいいですが。

観光以外に旨味の無いアキュリュースさえ、政治的理由で侵略されるのです。
貨幣ルートを押さえようと画策する人間の王が、過去に居なかったとは限りません。
ドワーフ族とて、有利な条件を示されれば、迷いが生じるかも知れません。
その際、手先が器用だから通貨を作っている…というだけでは、
あっさり攻略され、支配下に置かれてしまいます。
個人的には悲しい事ですが、やはりある程度の軍事力があって初めて
国家の中立は保たれるようです。特にバイアシオンは戦が多いですしね。
…永世中立国のスイスも、その原理が定められたルネッサンス当時は、
ヨーロッパ最強の傭兵国家として恐れられていたのです。
今でも、バチカンの法王庁をスイス兵が警備しているのは、その名残でしょう。

…ああ、これドワーフ王国の項まで取っておけばよかった(苦笑)。

 


第1弾はこうして終了です。…あまり女主に関わってない気もします(汗) (H15.10.13)


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